昨日は製品寿命の目標設定という内容でしたので、今日はその具体策を書こうと思います。
みなさんパペット部分の洗濯の可否に関心があると思うのですが、
都合により今日は電子回路の寿命に関して先に話をします。
真空管が発明されたのが1907年、トランジスタの発明が1947年ですから、
電子回路がこの世に出現してからまだ100年も経っていません。
ですからアコースティック楽器のように数百年後の状態というのは電子回路
は未体験なわけで、実際に確認した人はまだ誰ひとりとしていないのです。
それでも温度等の設定条件を操作することで加速実験ということは出来ます。
いきなり数百年後の目標を立てることは裏付けのある検証が出来ないので、
とりあえず1人の子供がお誕生のお祝いにケロミンをプレゼントされて、
大人になるまで動き続ける電子楽器を作りたいと思います。
童謡の「おじいさんの時計」のように100年動き続ける。
と言いたいのですが、製造した時点で使った部品が廃品種になることは目に見えていますので、それしか言えないところがつらいです。
電子回路は高度になるほどに専用の部品が必要になりますから、メーカーとしては最初に使った部品が製造中止になっても、保守用としてその部品を持ち続けなければならないのです。そして何より会社が存続しなければその約束も果たせないのです。(万一そのような事態になったときは、少なくともメンテナンスのための技術情報はネット上に公開して残しておくつもりです。)
使用する全ての部品について裏付けを揃えて20年後の動作を推測することも
まず不可能ですが、これまでに故障するパターンの分かっている部品に関しては
全て何らかの対応を考えておくということにしたいと思います。
電子部品でまず壊れやすいのは接点を持った部品、つまりスイッチであるとか、ボリュームです。信頼性の観点からはこれらを一切無くしてしまうのが一番なので、将来的にはそうしたいですが、部品の入手や開発工数がかかることから当分の間はそうは行かないのです。生産が立ち上がってしばらくは、入手できるスイッチやボリュームの中で高信頼のものを使うことで対応するつもりです。これらの物については保守用部品を維持する必要があります。
次に電解コンデンサ。音声信号を使う回路ではよく使う部品です。この部品は年月の経過と共に容量が低下するのです。これは大きな容量が必要な部分に使うコンデンサで、これまではこれを置き換える部品が無かったのですが、最近は積層セラミックコンデンサというものが大きな容量にも対応してきました。現状では非常に高価なのですが出来る限りこちらを使うことで対応します。
スピーカーのエッジ(振動板の周辺の可動部分)にウレタンが使われいるものがあります。これは20年程度でボロボロになるようなので、ケロミン用スピーカーのエッジには他の材質を使います。
電池ボックスの材質。電池ボックスにはバネの力が加わり続けるので、プラスチックですと長い年月の間に割れてしまうものが多くあります。ここは金属製の電池ボックスにします。
接着剤。使い方によりますが、10年以上すると剥がれてくるものがあるのです。
材質、使い方等は要注意です。
あとは全ての部品について言えることですが、耐えられる電圧、電流、電力に関して余裕を持って使うことですね。
現時点では20年でしたらここに挙げた対策を施すことで使い続けられる可能性が高いと考えているのです。
この他にも長く持たせるにはこうするべきだ、こうした方が良いよ、という知見をお持ちの方は是非是非教えて下さい。