ケロミンはパペットの口をパクパク動かすと、動きに応じて音程が変わるということをこのブログの最初に書きましたが、今夜はそう考えるに至った理由を解説してみようと思います。いつも言うように新たな電子楽器はどのようにでも作ることが出来るので、考え方が重要になります。
考え方の基本は、以下の2つとしました。
1,その操作が演奏者にとって直感的で自然な動きであること。
2,伝統的な楽器操作の底流に流れる精神に沿ったものであること。
オーケストラ楽器の全てについては知りませんが、少なくとも弦楽器は左手で楽器を支えると同時に弦を押さえて音の高さを調整し、右手は弓を持って弦を弾き、音量を操作します。
管楽器も多くは音高の調整を左手で行うと聞いています。
ケロミンもこれに倣って左手は音の高さを調整し、右手は音量を調整することにしました。
口のパクパクを操作部にすることは決定ですが、もう一つの操作部をどこに設けるかを決めなければいけません。演奏者がパペットを持つのと反対側の手の位置で最も自然なのはパペットの腕の辺りです。(人の右手がパペットの右手、人の左手ならパペットの左手の辺り)
そこでパペットの腕を操作部とするなら、腕を握ることが操作法としては最も自然であると考えます。
次に、パペットの口と腕。この2つの操作部でどちらを音の高さの制御に使うのか、大きさの制御に使うのかを決めなければいけません。自由に切り替えが出来るようにしても良いですが、一応基本は決めておくべきだと考えます。
音の高さと大きさ。演奏する上でより重要なのは間違いなく高さです。この高さの調整のやり易さを第一優先とすることにしました。
パペットの口の開き加減は手の動きとしては位置を決める操作です。一方、パペットの腕を握る操作は腕の堅さ柔らかさにもよりますが、柔らかければ位置決め操作、堅ければ力の操作に近いと言えます。楽器の作りとしては堅いものの方が信頼性や耐久性を高く作ることが出来ますので、堅い構造とすると、力で制御することになります。
では次に、位置決めの操作と、力の操作で、どちらがより正確な操作をするのに向いているかですが、これは位置決めの操作に軍配が上がります。一定の位置つまり口の開き加減に保つことは容易ですが、堅いものを一定の力で握り続けるのは意外に難しいのです。知らず知らずのうちに力が変動します。
このようなわけで、口のパクパクを音の高さの操作に使うことに決めたのでした。
パペットが歌っているように見せるには大きさの制御の方が向いていそうですが、演奏のし易さ、正確さを優先することにしました。
この結果、演奏者の左手でパペットの口パクを使って音の高さを操作し、演奏者の右手はパペットの右手を握って音の大きさを調整する。このような操作系を基本とすることに決めたのでした。